朦朧書簡 1 - 2 / 鯛頭へ、眞野瓦より
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朦朧書簡 1 - 2 / 鯛頭へ、 眞野瓦より
鯛頭よ、いつも通りの元気具合だな。
ドアのガラスを割ったって、まだ俺が居た時のいつかの慰安旅行を思い出すな。
宴会後にみんなでカラオケルームで騒いだあと、おやびんと縄乃町が揉めただろ。
二人が部屋から出て行くのが見えたんだけど、歌の途中だったし面倒くさいからほっといたんだけどさ。
妙な雰囲気もなかったしなぁ。
まあ、揉めたって言うか、おやびんにシメられたんだよな、あいつが。
首を掴まれて振り回されたって言ってたね。
旅館の向かいの土産屋のすぐ前だったから、その店のガラス戸が一枚粉々になってたもんな。
カラオケも終わって部屋でテレビを見てたら、縄乃町が血だらけで戻って来たんだよ。
それだけでも「うわぁ」と思ったけど、ヒクヒクなんちゅーて泣いてて、
ずっと「すいません…」て言い続けてたな。
おやびんも相当熱くなってておさまってなかったから、俺が一人で店に謝りに行ったんだよな。
まぁでも、その土産屋が旅館の社長の従兄弟の店だったらしくて、警察もすぐ帰って大騒ぎにはならなかったけど、なんてったって俺一人が店主にめちゃくちゃ怒られたんだよ。
「申し訳ありません!すみませんでした!」
なーんて全然思ってはないけど平謝りだった。
お前は、駅前のラーメン屋の紹介に乗ってから夜中にニヤニヤしながら帰って来て、すぐに布団に入ってたよな。
んで次の日、縄乃町のやつはずっと一点ばかり見つめて深刻な顔しててよ。
それを見て俺とお前で爆笑してたもんな。
にしても、おやびんの身長が160ちょいくらいで、振り回された縄乃町が180くらいだろ。
すげえよな、おやびん…。
そん時もやっぱし仕事の話から発展した訳なんだよ、これが。
思い出したら笑えるけど、気をつけなきゃだな、ほんと。
お前も上手く受け流してはいるんだろうけど、より上手くやってくれよ〜。 ってことで〜。