朦朧書簡 2 - 2 / 鯛頭へ、眞野瓦より
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朦朧書簡 2-2 / 鯛頭へ、眞野瓦より
鯛頭よ、年明けは俺はポールんとこへ行って騒いできたよ。
5人集まったな。俺とポール以外は、小梅川、雅原、タヅってえいつもの連中だ。
俺は、お前とポールとは高校が違ったから、お前ほどしょっちゅうあいつんとこには行ってなかったんだけどな。
卒業してからだな、何かあると行くようになったのは。
お前も知ってる通り、実家はすぐ近くなんだけどね。
そういえばあいつ、
「鯛頭のやつ、連絡ねえな。」なんて言ってたよ。
その後、
「ま、いいか。」ってな。
特に正月に会わなくても、何の問題もねえもんな、先ずは。
しかしよ、あいつんとこの2階のあの部屋に行くと思い出すんだよなぁ、卒業して何回目かの年明けの真冬の、あのクラス会の次の日のことさよ。
ポールの車を借りて、なんだかんだで「えぐちゃん」を隣町まで送るって時のな。
歩いて5分の近所だからすぐだから、取り敢えず行ってみようなんてところでさ。
何人か集まってんのは知ってたけど、デロデロなのは間違いねえとは思ってたからよ。
先ずポールのお母さんに挨拶だ。
「だいぶ遅くまで飲んで騒いでたみたいだから、まだ寝てるんでない? 叩き起してやって〜。」
なんちゅーてさ。
2階に上がったらやっぱお前らが寝てたんだけど、
ビール瓶と焼酎のパックとポテチとかコマイの散乱具合が酷かったよなぁ。
暖房が結構効いてたせいもあってか、異臭がこもってたもんな!
そういや、ポールがお前の腹を枕にしてたの覚えてるか?
事情を話して車を借りることになったのはいいんだけど、お前とポールも一緒に乗り込んで来ただろ。
目覚めてすぐに焼酎飲んで
「えぐちゃんが見てえ、見せろ!」
なんて騒いでからさ。
俺が運転、助手席にえぐちゃん、後ろにニヤニヤしたお前ら2人だもんな。
ムードも何もねえってんだよ、ほんと。
そんで、無事えぐちゃんを家の近所まで送って、じゃ、なんて言って別れてから車に戻ってすぐタバコに火をつけたんだよなぁ。
あん時お前ら2人が既に吸ってたので、ドアを開けると煙がムワーっと出てきてな…。
降る雪と吐く息と煙草の煙だよ。
そりゃそうだけど、全部白かったな。
えぐちゃんを送り中は、気を使って煙草は我慢してたからな。
えぐちゃんと何となくな話をしながら、カーステでかけてた、
クラッシュの「Somebody Got Murdered」
が、ずっとあれから何年も頭に残っててなぁ。
未だに酔うと聴いてるよ。
それにしても、お前とポールだよ。
出発前にえぐちゃんを見るだけだと思ってたら、一緒に乗り込んで来るとはな。
おかげで台無しだったぜ。
ま、いい思い出だけどよ。
えぐちゃんもクスクス笑ってたもんな…。
そんなとこで、じゃ。